すべての実数は連分数 x = a₀ + 1/(a₁ + 1/(a₂ + ⋯)) をもつ。整数 a₁, a₂, a₃, … を部分商という。π では 3; 7, 15, 1, 292, 1, 1, 1, 2…、√2 では 1; 2, 2, 2, 2, … となる。キンチンは、ほとんどすべての実数でこれら部分商の幾何平均が同じ定数 K₀ に収束することを示した。
P(k) = log₂(1 + 1/k(k+2))。部分商 1 は、ランダムな実数の連分数展開のおよそ 41% に現れる。
K₀ の公式は K₀ = ∏(1 + 1/(k(k+2)))^(log₂(k))(k=1 から ∞)であり、収束は非常に遅い。キンチンの定理は「ほとんどすべての数について真だが、π や e のような特定の有名定数についてはその場で確認できない」という、典型的な測度論的結果の例である。
k=3 の時点で、全部分商の 3 分の 2 以上が説明される。1 に近づくまでの収束は遅い。
1 が 41.5% と圧倒的に多いことが、K₀ ≈ 2.685 が 3 より小さい理由である。小さい部分商が幾何平均を強く引き下げるからだ。もし 1 から 9 までがすべて等確率なら、幾何平均はもっと大きくなる。K₀ は「典型的な」実数の連分数がどのような姿をしているかを数値化している。
キンチン定数 K₀ ≈ 2.68545 は普遍極限である。ほとんどすべての実数 x = [a0; a1, a2, ...] に対し、部分商の幾何平均 (a1*a2*...*an)^(1/n) は K₀ に収束する。1934 年にキンチンが証明した。印象的なのはその普遍性で、ほとんどすべての数で同じ平均になる一方、π や e のような具体的な定数で直接確かめることはできない。K₀ が代数的か超越的かも未解決である。