ド・モアブルの定理は、単位円上の点を n 乗すると、その角度が単に n 倍になることを述べる。角 θ から出発してこの操作を n 回行うと、到達するのは角 nθ の点である。これが複素数の算術の幾何学的な核心である。
単位円上の角 θ=40° から出発する。2 乗すると角は 80°(緑)、3 乗すると 120°(赤)になる。点は回転するだけで、原点からの距離は 1 のままである。
この定理はオイラーの公式 e^(iθ) = cosθ + i sinθ からただちに従う。両辺を n 乗すると、(e^(iθ))ⁿ = e^(inθ) = cos(nθ) + i sin(nθ) となる。ド・モアブルは 1707 年にこの結果を述べたが、オイラーが公式を公表したのはその 41 年後であり、当時は証明が機械的というより魔法のように見えた。
6 次の 1 の根は単位円上に正六角形をつくる。方程式 z^n = 1 の n 個の解は、常に角度 2πk/n = τk/n で等間隔に並ぶ正 n 角形をなす。
ド・モアブルの定理は、複素数の冪や根を計算し、多重角の公式(たとえば cos 3θ = 4cos³θ - 3cosθ)を導き、任意の複素数の n 個の等間隔な n 乗根を求めるための鍵となる道具である。複素数の代数と回転の幾何を結び付けている。
2 つの複素数を掛けると、偏角は足し合わされ、絶対値は掛け合わされる。両方が単位円上(絶対値 1)なら変わるのは角度だけである。n 回掛ければ角度は n 回足される。これがド・モアブルの定理である。
ド・モアブルの定理は、cos(nθ) がつねに cos(θ) の多項式として書けることを示す。これがチェビシェフ多項式 T_n で、T_n(cos θ) = cos(nθ) である。たとえば cos(2θ) = 2cos^2(θ) - 1 だから T_2(x) = 2x^2 - 1。数値解析、フィルタ設計、近似理論に現れる。